(2025.5.12)

ダイビングにおける「ブランク」とは、単に「潜っていない期間が空いた」ことを指しますが、それだけではありません。特に個人的なブランクは、時間の長さ以上に「スキルの低下」や「自信の喪失」、「コンディションの変化」など、内面のリスク要素が潜んでいることが特徴です。これに気づかずに海に出ると、思わぬトラブルを引き起こす可能性があるため、トレーニングによるリカバリーが重要です。
目的
このレポートの目的は、
- 「ブランク=何ヶ月空いたか」だけで判断することの危険性を知る
- 自分にとっての“個人的ブランク”の存在に気づく
- トレーニングの意義を理解し、自発的なスキルアップのきっかけとする
この3点を軸に、ブランクの捉え方を見直し、安全なダイビングへの意識を高めることです。
アウトライン
- ブランクダイバーとは?
- 個人的ブランクとは?
- なぜトレーニングが必要なのか
- ブランク解消のためのアプローチ
- おわりに
ブランクダイバーとは?
一般的には「半年以上ダイビングをしていないダイバー」がブランクダイバーとされ、リフレッシュコースを勧められます。ただしこの期間はあくまで目安。人によっては1ヶ月空いただけでも感覚を失うこともあれば、1年空いても問題なく復帰できる人もいます。
個人的ブランクとは?
“個人的ブランク”とは、以下のような内的要因によって生じるスキルギャップや不安を指します。
- 気持ちが海から離れていた
- 前回のダイビングでトラブルがあった
- 潜った本数は少なくないが、特定のスキルを長く使っていない
- 器材や環境の変化(例:初めてのドライスーツやナイトダイブ)
- 年齢や体力の変化
つまり、自分だけが抱える“間”や“ズレ”が個人的ブランクです。

なぜトレーニングが必要なのか
個人的ブランクを放置すると、以下のようなリスクが高まります。
- スキルの再現性が低く、非常時に適切な対応ができない
- バディやガイドへの依存が増える
- 不安が潜在的ストレスとなり、呼吸や浮力調整に影響
- 楽しむどころではなくなり、「もう潜りたくない」と思ってしまう
これらを防ぐには、ショップでの復習講習が非常に有効です。トレーニングは、“自信”という安全装置を取り戻す手段なのです。
ブランク解消のためのアプローチ
- チェックダイブを軽視しない
潜水前に中性浮力、マスククリア、オルタネイトの位置確認などを行い、海に慣れる時間をつくりましょう。 - 「不安なこと」を見える化する
水中ノートに書いておく、トレーニングメニューをつくるなど、感覚に頼らず可視化することで具体的な課題が見えてきます。 - インストラクターやバディと情報を共有する
「実は少し不安なんです」と伝える勇気が、ダイビングの質と安全性を飛躍的に高めます。 - 定期的なスキルメンテナンス
2ヶ月に一度は「Sドリル」「マスク脱着」「フィンピボット」などの基本をやり直すだけでも、自信がぐっと違ってきます。
まとめ
ブランクとは、期間の問題ではなく、“自分の感覚”の問題です。たとえ100本潜っていても、2ヶ月ぶりの海が不安なら、それは立派な“個人的ブランク”。
それを自覚し、トレーニングによってリカバリーすることこそ、成熟したダイバーの姿といえるでしょう。
自分の弱点を知り、丁寧に向き合う勇気が、安全で楽しいダイビングを生み出すのです。
確認
あなたが感じている「ちょっと不安」は、立派な個人的ブランクかもしれません。
「それを補うトレーニング」をしていますか?